基本情報技術者過去問題 平成28年春期 午後問6

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問6 プロジェクトマネジメント

ソフトウェアパッケージ導入時の調達先選定に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。

 C社では,会計システムの再構築を考えており,プロジェクト計画の策定中である。本プロジェクトの目的は,業務の効率向上と,標準化による運用保守コストの削減である。目的実現のための方式案として,ソフトウェアパッケージ(以下,パッケージという)の活用を検討している。ここで,業務プロセス及び運用フローについては,パッケージの機能だけで実現する計画である。

〔比較検討の進め方〕
 パッケージの比較検討は,次の手順で進める。
手順1:
C社の業務要件に近いと思われるパッケージを調査した結果,有力と判断した3種類のパッケージ製品について,要件定義から本番稼働までの概算見積を含む提案を,それぞれのパッケージベンダ(L社,M社,N社)に依頼する。各社提案について,評価項目に基づいた評価を実施する。
手順2:
提案されたパッケージを導入した場合のリスク分析を行い,対策を検討した上で,リスクに対する評価を実施し,総合的に判断する。

設問1

本プロジェクトのプロジェクトマネージャ(PM)は,手順1に従い,L社 M社,N社からの提案内容を評価した。その結果を表1に示す。評価項目における各社の評点は,評価項目ごとの評価基準に重みを乗して算出し,評点の合計を総合評価とする。PMが行った作業に関する次の記述中及び表中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。
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 表1で総合評価の値が最も高いのはb社であった。
a に関する解答群
  • 0
  • 60
  • 120
b に関する解答群
  • L
  • M
  • N

解答選択欄

  • a:
  • b:

解答

  • a=
  • b=

解説

aについて〕
「評点は、評価項目ごとの評価基準に重みを乗じて算出する」と説明されてます。

M社の概算見積もり額は3,800万円で、C社の予算上限5,000万円に対する割合は次のように計算できます。

 3,800÷5,000=0.76=76%

この数値は評価基準の「80%以下」に該当するため評価は4になります。そして概算見積もり額に設定されている重みは30であるため、2つの値を乗じて評点を算出します。

 4×30=120

a=ウ:120
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bについて〕
L社とM社の総合評価はすぐに分かりますが、N社に関しては「要求機能数の評点」が隠されているため、これを計算する必要があります。

N社の適合数は32で、C社の要求適合数に対する割合は以下のようになります。要求機能数に設定されている重みは20であるため、2つの値を乗じて評点を算出します。

 2×20=40

したがってN社の要求機能数の評点には40が入ります。
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表1がすべて埋まったので3社それぞれの総合点を求めます。
  • [L社] 表1より360
  • [M社] 80+20+0+80+120=300
  • [N社] 40+20+120+40+60=280
以上より最も総合評価が高いのはL社です。

b=ア:L社

設問2

手順2でPMが行ったリスク評価,及びパッケージ選択に関する次の記述中及び表中の に入れる最も適切な答えを,解答群の中から選べ。

〔パッケージ導入に関するリスク分析の状況〕
 C社のプロジェクト管理規程では,表2に示すリスク評価マトリックスを用いて,発生確率と影響度の積の値で対策の優先度を決定する。値が6以上のリスク項目は,リスク発生時の対策が必要と判断する。プロジェクト計画時に,対策が必要なリスク項目ごとに,概算見積費用の10%を,リスク発生時の対策費用として盛り込むことにしている。PMが表1を基にリスクを洗い出し,評価を行った結果を表3に示す。
pm06_2.gif/image-size:360×115
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 リスク評価の結果から,例えば項番1のリスクに対するN社パッケージヘの対応として,プロジェクト立上げ時点に予防措置を講じていたとしても,dを契機にリスク対策を発動しなければならなくなったときのために,e万円のリスク対策費用を盛り込む必要があるといえる。
 リスク評価結果から必要となるリスク対策費用を各社の概算見積金額に加えて,各社提案の評価をやり直した結果,総合評価の値の大小関係に変わりがないことから,表1の総合評価の値が最も大きいパッケージを採択して会計システムを再構築するプロジェクト計画の策定を進めることにした。
c に関する解答群
  • C社内のシステムに関するプロジェクトの管理経験を有する,N社以外のベンダ要員を増員する。
  • C社の会計業務に関する業務マニュアルを整備し,N社の要員に研修を実施する。
  • パッケージの機能をC社の業務向けにカスタマイズするために,N社の要員を増員する。
  • パッケージを適用する際のC社の業務プロセス,運用フローの見直しについて,C社内の有識者社員から成る検討要員を増員する。
d に関する解答群
  • 解決されずに残っている課題の増加
  • 業務プロセス,運用フローの改訂作業量の増加
  • 業務プロセス,運用フローのレビューでの指摘の増加
  • 作り込み機能の増加
e に関する解答群
  • 380
  • 450
  • 470
  • 900

解答選択欄

  • c:
  • d:
  • e:

解答

  • c=
  • d=
  • e=

解説

cについて〕
ERP、SCM、CRMなどの統合パッケージソフトを導入することによって、企業内に散在するデータの一元管理を可能にしたり、全社的な業務の統合化を推進することができるメリットがあります。しかし導入する際にはERPパッケージが想定している業務モデルと現状業務との「フィットギャップ分析」を行い、現在の業務プロセスをパッケージに適合させるためのBPR(Business Process Re-engineering)を行うことになります。パッケージとの適合性が低ければ現在の業務を大幅に変更する必要があり、業務設計書を作成するのに大幅なコストがかかることになります。
cの対策は、リスクが顕在化し遅れが生じた場合に業務設計を推し進めることのできる対策になっているかがポイントとなります。
  • パッケージソフトの開発は業務設計後の工程になるため、プロジェクト管理経験者を追加しても業務設計の進行には寄与しません。
  • 表1よりN社は業界知識が高いことが分かるため不適切とわかります。この記述はM社の項番2のリスクへの対策を述べたものです。
  • カスタマイズは業務設計後の工程になるため、N社の要員を増員しても業務設計の進行には寄与しません。
  • 正しい。C社内の業務に詳しい検討要員を増員することで業務設計の進行を促進することができます。
dについて〕
項番1のリスクは「業務プロセス、運用フローの変更項目が多く、業務設計が遅延する」というものです。選択肢のうち業務設計の遅延に繋がる要因は、パッケージとの適合性の低さに起因する改訂作業量の増加です。

d=イ:業務プロセス,運用フローの改訂作業量の増加

eについて〕
設問ではリスク発生時の対策費用は概算見積金額の10%と説明されています。表1よりN社の概算見積金額は4,500万円とわかるため、対策費用はその10%に相当する450万円が適切です。

e=イ:450

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